フレグランスと私

リレーインタビュー <ブルーベル・ジャパン>

リレーインタビュー <ブルーベル・ジャパン>

- お仕事がら日頃、数多くのフレグランスに触れていらっしゃるかと思いますが、近頃小磯さんが愛用している香水はありますか?

小磯さん:「今年はどんな年にしようかな」という想いとともに“今年の香り”を決めて新年を過ごすのですが、今年の香りには、メゾン フランシス クルジャンの「アクア セレスティア フォルテ オードパルファム」を選びました。清らかな香りの中に豊かさや奥行き、厚みがあって、自分自身も奥行きのある女性になれれば、という想いから選びました。
それから7月の誕生日の時期にアップデートして年に二回、香りを決めるようにしています。

- 香りを選ぶ際のポイントはありますか?

小磯さん:香りのイメージと自分の演出したいイメージを意識して、「こうなりたい」という目標を込めて香りを選ぶようにしています。

- 1日の中のどのシーンで、どのように香水をつけられますか?また、工夫しているまとい方があれば教えてください。

小磯さん:これは人にもよくお伝えしていますが、私はメイクをする前に香りをまとって、眠い朝でも好きな香りとともに気分良く朝を迎えるようにしています。例えばいつもの香水とは違ってフローラルな香りを手に取った時は、意識するでもしないでもなく、選ぶコスメも柔らかいカラーのものを選んだり、香水をもとに装いを決めたりもしますね。

- 例えばいつもより赤いリップにしたりアイラインを少し太めに入れたりすることで、大きく気分を変えることができますが、同じような変化を感じられる香水はありますか?

小磯さん:メゾン フランシス クルジャンの「バカラ ルージュ 540 オードパルファム」のような香りには影響されますね。香りを変えるだけで、全てが変わるような感じがありますよね。

- 最初にご自身で選ばれた香水や、香水に触れるきっかけになった思い出はありますか?

小磯さん:私はスキンケアが有名な化粧品会社からキャリアが始まっているのですが、当時は香水も取り扱いがあって、香りを必ずまとうように指導されていて、私はグリーンノートの香りを選んでいました。それよりも前から、母親の鏡台から手に取ったりと、他の香水にも触れていましたが、化粧品会社で指導された思い出が印象深いですね。その後転職を経て、グッチのエンヴィをプレゼントされたのをきっかけに「こんな香りが似合う女性になれたらな」と思うようなお気に入りの香りに出会いました。その頃にグッチも取り扱うブルーベル・ジャパンとご縁があって、今となっては随分長くブルーベル・ジャパンにお世話になることになりました。香りの縁があって、ということですかね。

- 香りはスキンケアと共に大切にされていたんですね。

小磯さん:そうですね。私にとっては美容業界に入って一番最初のことだったので思い出深いですし、今でもそれをずっと大切にしていますね。そしてやっぱり今でも変わらずグリーンノートの香りが好きなのも当時のままですね。

- 売り場での反応などから、小磯さんが近頃感じている香水の嗜好の変化はありますか?

小磯さん:一時期よりも香りの系統として大人っぽいものが好まれるようになったり、女性のものはよりフェミニンになったりしていて、香りを選ばれる幅が広がってきているように思います。いわゆるミレニアル世代の方達は、以前より甘みの深い香りを好んでいらっしゃいますね。

- フレッシュでフルーティな香りがこれまでのトレンドでもありましたが、香水として色んな香りを使っていただけるようになるといいですよね。

小磯さん:私自身、ビューティーアドバイザーの採用面接も行なっているのですが、このところ愛用の香水を質問すると、ランバンの「エクラ・ドゥ・アルページュ オードパルファム」と答えられることが続いているんです。母が使っていたから、ということなのですが、私の世代ではコロン的なものが始まりだったので、今の世代の方の入口にはすでに香水の存在があるということが一般的であることを気づかされましたし、以前よりも、香水に触れやすくなっていますよね。

- 「エクラ・ドゥ・アルページュ オードパルファム」では母と娘のシルエットが印象的ですし、まさに世代を超える香水として成功している香りの1つですよね。

小磯さん:作品の誕生にもまつわる素敵なエピソードだと思います。時の流れを感じますけどね(笑)。

- 採用面接も行なっているとのことですが、ブルーベル・ジャパンでは採用基準となる大切なポイントはありますか?

小磯さん:とにかく“香水が好き”ということが一番大切ですね。そうでないとこれだけの数のブランドの様々な香水を覚えていくことが、苦痛になっていったり、楽しむことを忘れてしまうと思うんですね。

- 非常に取り扱いブランドが多いのがブルーベル・ジャパンの特徴でもありますが、同じカウンターでメゾンフレグランスとファッションフレグランスで違った提案の仕方はありますか?

小磯さん:メゾンフレグランスは、こちらから紹介するまでは知らない方が多いんですね。まずはメゾンフレグランスに興味を持って頂いて、ブランドのイメージが自身にあっているかを示されて、香りのご紹介をしていきますね。ただ近頃は、メゾンフレグランスも年代問わず注目されるようになっています。以前はファッションから裾野を広げて、メゾンフレグランスの愛好者に成長していくことが多かったのですが、今は「香りで選ぶ」ことを重要視されていて、ファーストフレグランスにメゾンフレグランスを選ばれることも増えましたね。最初は新作の香水に注目されて来店されますが、手をかけ、言葉を尽くして香りやブランドを紹介していくことが重要だと思っています。

リレーインタビュー <ブルーベル・ジャパン>

メゾン フランシス クルジャン 
『アクア セレスティア フォルテ オードパルファム』

静穏なオーラをまとった爽やかな香り

Profile

小磯 良江 (こいそ よしえ)
ブルーベル・ジャパン株式会社 パルファム コンサルタント

香りのスペシャリスト「パルファム ソムリエール」の育成・統括を手がける。フレグランスの歴史や製品構造、文化への影響、香りの効用など、幅広い知識を要するソムリエールへの指導を行う一方、一般の方向けのイベントや講演会などでも活躍中。