フレグランスと私
リレーインタビュー <株式会社ブルジョン>

- 干場さんは前職は日本香堂にいらしたとか?
干場さん:そうなんです。それより以前はインテリアショップで働いていたので、フレグランスキャンドルなども扱っていて香りに興味を持ち出しました。日本香堂では子会社のエステバンというブランドにいました。ブルジョンでは、店舗への営業と、日本フレグランス協会のフレグランスセールススペシャリストの資格も活かして店頭にも立つこともあります。
- 御社の主力製品であるリナーリはどのような特徴のブランドですか?
干場さん:建築を学んだこともあるレイナー ディエシェが、素敵な空間には素晴らしい香りが必要不可欠であり、ルームフレグランスはインテリアのデザイン性も重要であるとの思いから、2003年に設立されたブランドです。香料の産地や、トップ・ミドル・ラストの構成など、香水と同じような設計に拘ったもので、各国の王室や著名人を顧客に持ち、またハイエンドなホテルでも使用されている高級ルームフレグランスの世界的パイオニアです。日本では2007年からで、13年経っています。

- 確かに、ラグジュアリールームフレグランス ブランドの先駆けでしたし、当時このサイズ 感もインパクトがありましたね。
干場さん:500mlのリードディフューザーが人気のサイズで、半年~8ヶ月ほど持続します。広い間取りにお住まいのお客様ですと、一度に二本購入される方も珍しくありませんが、エアコンや空気清浄機の風が当たらなければ1年近く持続する場合もあります。その他、5000mlサイズと500mlのリフィル、必要な時だけ使用できる100mlのスプレータイプが揃っています。
- 近年はラグジュアリーフレグランスブランドでも、ルームフレグランスを発売することが 多くなりましたが、リナーリの動向はいかがですか?
干場さん:いまでこそフレグランスブランドのルームフレグランスが増えましたが、当時は価格もさることながら、ミニマルでスタイリッシュなデザインは斬新でした。お客様にとっても初めて見るような高級感ある芳香剤を、どのように生活に取り入れたら良いかわからないという戸惑いもあったようです。
- そのような日本のお客様方へどのように広められていったのですか?
干場さん:ボトルの形は同じなのですが、香りごとにボトルの色やキャップ、ラベルも違っていますので、むしろインテリアをコーディネートするようなアドバイスを行ってみると、スムーズにご購入いただけることがわかりました。更に、オブジェ的で存在感のあるデザインに対し、香りの奥行きがありつつも柔らかいため、毎日漂っても主張しすぎることなく馴染み、それもリピートされる理由になっているようです。10年以上ご愛用のお客様もいらっしゃいますし、その魅力が今のように様々な製品が増えたなかでも人気を維持している理由ではないでしょうか。

- 個人的によくお使いになるのはどの香りですか?また使い分けもされますか?
干場さん:最近は日本のみで販売、数量も限定の『ジャポネ』に勢いがあり、私自身も気に入って、自宅の玄関で使用しています。創設者のレイナーが日本をイメージし、2年もの構想を経てできた香りはピーチを効かせた優しいフローラルフルーティで、日の丸をモチーフにした和モダンのデザインに仕上がっています。
季節の変わり目には自然と香りを変えたくなりますが、例えば、オーシャンノートで空気が綺麗になったような清潔感ある『オセアノ』を使いたくなったら、夏が近いんだなと気付かされます(笑)。普段は甘めの香りは好みでないのですが、寒くなってくると『アボリオ』のような少し甘めで暖かみを感じる香りにします。この感覚は香水と同じですね。
- リナーリでもオードパルファムを出されているんですよね。
干場さん:はい、オードパルファムもラインナップに加わりましたが、取り扱っている店舗は多くないので、もよいに比べるとまだまだニッチです。どちらかと言えば、年に数回やるポップアップストアでご覧いただいており、定期的なその時期を楽しみにしてくださっているお客様もいらっしゃいます。
- あえてそのようにされているんですか?
干場さん:当初は扱ってくださる店舗数を増やしたい思いでしたが、空間の広さに併せて一部屋に二本の購入や、季節によって変えたい、無くなってきたからそろそろというように、日常的に減っていき、空間ごとにも違う香りを併用しながら定期購入なさってくださるお客様も少なくないルームディフューザーに比べると、オードパルファムは一度に何点か購入される方も少なく、また一度購入されると次に購入されるタイミングまで期間が空く方も多いなど、ニーズが少し違うと感じましたので、弊社では今のやり方を行なっています。
- なるほど。オードパルファムは、今ここで、という購買意欲を促進できるような展開をさ れているわけですね。 リナーリの今後の展望をお聞かせください。
干場さん:初期の頃から継続してご使用いただいている30代のお客様も既に40代になっていらっしゃいますが、このような顧客様のように、インテリアやルームフレグランスにこだわりのあるお客様はもちろん、今後はより一層若い方へのご提案していきたいと思っています。
実際、10年以上経っても全く古さを感じさせず、香りとデザインの融合は空間や家具までよく見せてくれる効果があり、ライフスタイルへの意識が変わります。
センスの良いホテルのビジュアルなども見ていただいたりして、その方の人生を尊重できるような、素敵な空間には素晴らしい香りが必要であることを、リナーリの製品とともにお伝えしていきたいと思っております。
干場 由紀(ほしば ゆき)
株式会社ブルジョン フレグランス事業部アシスタントマネージャー
LINARI(リナーリ)をはじめ、香水ブランド「CIRO(シロ)」、ベルギー発ルームフレグランス「Baobab COLLECTION(バオバブコレクション)」の日本総代理店を務める同社で、取引先への営業や商品トレーニング、各ブランドのECサイト運営を担当。
日本フレグランス協会のフレグランスセールススペシャリストの資格も活かして、店頭でのワークショップやセミナー講師としても活躍。