フレグランスと私

リレーインタビュー <パレアンヌ>

- 中田さんが現在愛用しているフレグランスは?

中田さん:アトリエコロンの『グランネロリ』です。少し苦み走ったグリーン要素を持つ香調が、私の気分を±0(プラス・マイナス・ゼロ)にさせてくれるので、プライベートな時間や就寝前にもよく使用します。
ただ現在は日本での販売がなくなってしまい、残念です。

- 使いつけの香りが販売中止になることがありますが、そういう時は残念な気持ちになりますよね。 普段からどのようにフレグランスを選びますか?

中田さん:単純に、直感ですね!(笑)。
一つルールがあるとすれば、自分のコンディションが良い状態の時に、”嗅ぐ”というより”聞く”という意識を持つようにしていることですね。そして、肌で試した時に違和感なく鼻に飛び込んできて、景色や絵が浮かんだり、心が掴まれるような香りを選んでいます。これらの優先度が、ブランドやネーミング、ボトルの印象より高いです。

- どのようにフレグランスをまといますか?

中田さん:基本は、手首とひじの内側、ひざ裏、太ももの内側に、10cmほど離して1プッシュずつスプレーします。
午前中に一度つけておき、その残香が残っていたとしても、午後に別の香りを重ねることもしばしばあります。
仕事の打合せ時やセミナーなどでは身体には付けず、小物や名刺に付香する程度にしておくこともあります。

リレーインタビュー <パレアンヌ>

- 思い入れのある香水は?

中田さん:ニナリッチの『レールデュタン』です。中でもボトルキャップが1羽の鳩のデザインのものがどうしても欲しくて、ようやく入手できた時に一度開封し、その後は保管していたのですが、次に開けた際は蒸発していて、ほぼ空の状態になっていた苦い思い出があります。それでもこのボトルは今でも大切にしています。

- 『レールデュタン』といえば、第二次世界大戦後に平和を祈願するコンセプトで誕生した名香ですが、この度のコロナ禍によっても新しいフレグランスの誕生に影響があると思いますか?

中田さん:香水は社会の変化によって新しいトレンドが生まれることがあります。第1,第2次世界大戦後に新たな香調や、レールデュタンのように大ヒット香水が誕生したように、新型コロナウイルスによっても影響を受けるフレグランスがあると思います。外国への旅行が困難となっている今、世界や都市をテーマにした新解釈のジェンダーフリー香水が誕生し注目されるという予感が、期待とともにあります。

リレーインタビュー <パレアンヌ>

- パレアンヌでも秋田という地域色を打ち出した商品が人気ということですが、具体的にはどのような製品ですか?

中田さん:「木香厘」は、“秋田スギの香料”と、“秋田の職人”によって、“秋田県産木材を活用したパッケージ”、という3点にこだわったMADE IN AKITAの製品です。
調香の部分を私が担っており、秋田スギの枝葉から抽出された天然精油をベースに調合した爽やかな香りが漂うリードディフューザーです。
器は、木目模様の美しさが特徴の秋田スギと秋田県産の栗の木を用いています。天然木独特の質感と風合いが感じられる三層構造で、秋田の木工職人によって丁寧につくられたハンドメイド品です。
企業様ではエントランスや会議室、一般家庭では玄関やリビング、寝室などに用いていただいており、また、秋田らしさのある贈り物としてもご依頼いただいております。

- フレグランス製品に慣れていない方でも、空間用の香りは取り入れやすいですね。

中田さん:ディフューザーを皮切りにシリーズ化し、スプレータイプや置き型のボードタイプ、杉でできた栞なども販売しています。
この香りで秋田を感じ、旅したような、旅がしたくなるような気分にもなっていただけたら嬉しいです。

Profile

中田 邦子(なかた くにこ)
パレアンヌ代表
フレグランスデザイナー・香水コーディネーター

日本フレグランス協会のスクール部門立ち上げより参画。現在は常任講師兼スクールマスターとして運営に携わる。 2010 年にワークライフバランスを目指し、東京から秋田県へU ターンして香りの店舗「パレアンヌ」を設立。
香りスクールの運営や講演、秋田スギの香りなど地域色を出したオリジナル調香による商品開発に力を入れる。