フレグランスフォーラム
2019年
木の香りは古(いにしえ)より高貴な香りとして薫(たき)もので使用されてきました。その中でも香木として最も価値のある沈香(じんこう)は、仏教のみならずイスラム教などの宗教儀式においても珍重され、人々の心を癒すとともに天界に誘う薫香として愛されてきました。
原木はアキラリア・アガローチャ(Aquilaria agallocha)というジンチョウゲ科の樹木ですが、木部がダメージを受けると、特殊な菌の作用で樹脂を内部に形成し、その部分がその素晴らしい香りを醸し出すのです。しかし、原木が沈香に変化するまでには長時間を要するため、グレードの高いものは今や大変希少になり、ワシントン条約で輸出入は規制されています。
現在でもベトナムやラオス近郊で採取されますが、最高グレードの伽羅(きゃら)は金より高額です。その香りは重厚で気高く残香に優れ、まさに極楽浄土を想起させるといわれます。今、この香りを香水に用いてみようとするパフューマーがドバイを中心にOudのブームを起こしています。
Gucci (Intense Oud), Creed(Royal-Oud),Versace(Oud Noir), Yves Saint Laurent (Splendid Wood)等、男性用は勿論、女性用のフレグランスとしてもその濃厚な香りが、中東のみならず欧米でも流行ってきました。原料は全て天然とはいかないのですが、原木を栽培し釘を打って樹脂の生成を促す方法で製造されるものも現れるようになりました。
山本香料株式会社
代表取締役社長
山本芳邦(薬学博士)
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