フレグランスフォーラム

2014年

イランイラン1東南アジア諸島原産の、現地の言葉で「花の中の花」と呼ばれる香りのよい花をつける常緑喬木・イランイランノキ(学名Cananga odorata Safford)がある。

花から芳香を取り出すため、フランスは当時植民地であったアフリカ東南海上のコモロ諸島、ノシベ島、レユニオン島でプランテーションを行った。今、現地では花を傷めないよう注意深く水蒸気蒸留して、イランイラン オイル(ylang ylang oil)を生産している。初めに溜出する軽い上質の香りのextra グレードから、最後に溜出する重い香りのthirdグレードまで4区分され、フレグランス製品用には、アルコールへの溶解度が高いextraグレード品が用いられ、アルページュ(ランバン)などのフローラルブーケ調フレグランスの重要な原料となる。

インドネシアでも、イランイランの花からカナンガオイル(cananga oil)が生産される。花を蒸留釜に詰め込み、直火で水蒸留し、グレード区分もしないため香りは華やかさに欠けるが、男性化粧品用や石鹸用香料調製に利用される。コモロでは溶剤抽出も行われ、花精油はイランイラン アブソリュート(ylang ylang absolute)と呼ばれ、ミュゲ調の高級フレグランス製品用香料に用いられる。

 

解説

にほひすと&かおりすと 吉原 正明