フレグランスフォーラム

2014年

ビターオレンジ1東南アジア原産のビターオレンジ(だいだい)(学名Citrus aurantium amara L.)は今、世界中の温帯から熱帯に広く生育しており、地中海沿岸や西インド諸島などで香料用に栽培され、果実、花、葉から各種の天然香料が作られる。

スペイン、ギニアでは、果実を圧搾して果皮中の精油分を採り出したビターオレンジ オイル(orange bitter oil)は食品香料への需要が多い。南仏、イタリア、チュニジアなどで花を水蒸留して採るネロリ(オイル)(neroli(oil))は、フローラルで柑橘のさわやかな香りで、クラシックなオーデコロンや男性用フレグランスなどの香り作りに重宝される。

中世イタリアのNerola公国の王妃がこよなく愛した事から、オレンジフラワー オイルをネロリと呼ぶようになった。花を溶剤抽出すると、オレンジフラワー アブソリュート(orange flower absolute)が得られ、少量でフレグランス製品の香りを芳醇にし、ネロリとの併用はさらに効果を増す。
摘花後の葉や小枝を水蒸気蒸留して得られるプチグレン オイル(petitgrain bigaradier oil)は、安価で力強い香気を持ち、ネロリの代わりに化粧品、トイレタリー製品などに広く利用される。ネロリの副産物・ネロリ水(Neroli water)は、昔、鎮静剤として多用された。

 

解説

にほひすと&かおりすと 吉原 正明