フレグランスフォーラム

2013年

シナモン4fotolia_2785543_XSくすのき科シナモン属の植物樹皮の内皮を乾燥させたロール状の芳香物で、肉桂と呼ばれる。利用の歴史は古く、4000年前のエジプト人はすでに知っており、ヘブライ人は聖なる注ぎ油作りに用いたという。

料理や菓子作りのほか、生薬、香料として利用される。

シナモン属はインドから中国にかけての南アジア一帯に育つが、スリランカ、ミャンマー、インド、インドネシアに育つtrue cinnamon(学名Cinnamomum verum J.Presl)の樹皮(bark)が香辛料として品質が高く、生産量も抜群のスリランカ産がとくに有名。長年、産地が秘密にされてきたが、16世紀始めにポルトガルの航海者がスリランカで見つけて以後、欧州列強の利権争奪の元となった。

今では、西インド諸島、ブラジル、マダガスカルなどでも生産されている。樹皮を水蒸気蒸留、ときには水蒸留してCeylon cinnamon bark oilを得る。甘く、スパイシーな香りは、フレーバー用途のほかに、オリエンタル調香水をはじめ、多くのフレグランス製品の特徴を演出している。中国産シナモンはカッシア(cassia)(学名C.aromaticum Nees)と呼ばれ、樹皮は桂皮と呼び、薬用される。樹皮、葉、枝を水蒸気蒸留してCassia oilを得る。

 

解説

にほひすと&かおりすと 吉原 正明