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フレグランスフォーラム

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2013年秋号

白檀1 IMG_0821-1 扇子、仏像、数珠などの細工物やお香でなじみのある白檀(びゃくだん)は、びゃくだん科のSantalum album L. という常緑の樹木で、インドネシアの小スンダ列島原産。白檀の仲間はインド、マレー半島、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランド、ニューカレドニア、南太平洋諸島、ハワイから小笠原諸島まで十数種が分布するが、香気が最も優れるのはインド・マイソール州産白檀。英語でsandalwoodあるいはwhite sandalwood。焚かずとも神々しい芳香を発し、インドでは古くから宗教儀式に用いられ、仏教とともに中国へ、そして日本に伝来した。

樹齢30年以上の心材、根を水蒸気蒸留して、甘く、ソフト、マイルドな重いウッディ調の、官能的なバルサムようの香気をもつ精油を得、“L’air du temps”や“Samsara”など、多くの高級フレグランス製品用香料調香に用いられる。ニューカレドニア産の近似種からは水蒸気蒸留以外に溶剤抽出と精製によっても精油を得るという。

インドでは乱伐による古木の激減で政府が伐採を禁止している。主香成分のサンタロール類に化学構造も香気も類似した合成香料が次々と開発され、白檀の代替として、また、日用品向け香料にも広く利用されている。

 

解説

にほひすと&かおりすと 吉原 正明

2013年夏号

クチナシ2梅雨の時期、雨上がりに何処からともなくクチナシ(英名:gardenia、学名:Gardenia jasmonoides Ellis)の甘い花香が強く匂ってくる。一重のほうが香りは強いようだが、夜露に濡れた八重咲きは純白のビロードのような花の姿と、そのフレッシュグリーンフローラルで、フルーティでファッティスウィート(乳製品のような脂っぽく甘い)な、強く迫ってくる香りは濃厚かつ妖艶である。
昔、マダガスカル、北米で、花の石油エーテルや液化ブタンによる溶剤抽出が試みられ、gardenia absoluteが少量製造されたが、収率が悪く高価であるため、ブタン抽出品(butaflor)に良く似た調合品(isobutadlor)が開発され、グリーンフローラルな香気で、またの名をガーデノールとも呼ばれる合成香料・スチラリル アセテートやミルキー、ファッティな香りのラクトン系合成香料をキー物質にしたガーデニア ベース(調合香料)が開発されて、天然香料は“今は昔”である。
花香が甘く華やかで好まれる故か、「Gardenia」と称するファインフレグランス製品は数多い。また、ガーデニアの香りが重要な香りの要素となっているファインフレグランスも多く、古典の名香「Crepe de Chine」や「L’air du temps」はスチラリル アセテートがキー物質となっている。グリーン、フローラル調の香り作りにはきわめて重要な物質である。

 

解説

にほひすと&かおりすと 吉原 正明

 

2013年夏号

ヒノキ2ヒノキ(英名:Japanese Cypress、学名:Chamaecyparis obtuse Sieb. et Zucc.)は 本州(福島県以南)、四国、九州、屋久島、台湾に分布する常緑針葉高木で、狂いが少なく、加工しやすく、水にも強く、芳香を放つため、用途は建築材、家具・建具材、舟材、浴槽材、俎板など、多岐にわたる。
社寺などの高級な木造建築には、ヒノキがよく用いられる。木の肌目が細かくて、特有の光沢があって美しい上、フレッシュでカンファー(樟脳)様の清々しさとおだやかなウッディ調のヒノキ特有の芳香は爽快で、多くの日本人を魅了する。伐採後1,000年位経っているものでも、削ると芳香を発するという。写真の黄色い粒は風雨に曝した古いヒノキ材から浸み出したヤニ(樹脂)で、ヒノキの香りを放つ。
幹材や根株のチップを水蒸気蒸留して得られるヒノキ精油は、戦前、浮遊選鉱用の気泡剤やテレピン油代りに用いられたが、今は石鹸や入浴剤用香料として用いられる。葉からは水蒸気蒸留でヒノキ葉精油が得られる。ヒノキ精油よりも軽く、グリーンでフレッシュな香りを持つ。
ヒノキチオールを含有するのは、台湾に自生する亜種・タイワンヒノキや、別種・タイワンベニヒで、抗菌作用が強く、精油含量も高いため、耐久性にすぐれるが、乱伐で資源が枯渇し、伐採が禁じられている。
法隆寺や薬師寺の塔、正倉院、伊勢神宮などの社寺建築に用いられるなど、古来、我が国の木造建築文化を支えてきたヒノキは、今、スギに次ぐ広い造林面積をもっている。この由緒ある豊かな芳香資源を活用した日本の香り、日本のファインフレグランス製品の世界への発信が待たれる。

 

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にほひすと&かおりすと 吉原 正明

2013年春夏号

DSCF1956ローズマリー(Rosmarinus officinalis L.)はシソ科の常緑低木で、地中海から黒海沿岸、中東、東アフリカに自生し、抗菌、抗酸化、消臭、血行促進、炎症抑制、消化不良改善などの作用があり、早くから食生活、医療に利用され、形状、花の色も多様で交雑種が多い。

水抽出物は消臭効果が高く、ロズマリン酸、カルノシン酸などの存在が消臭、薬効に係わっている。欧米では、ローズマリーの葉は冷蔵庫が発明されていない頃から、塩漬けの魚肉の嬌臭(臭みをとること)に使われてきた。今では、香草として他のハーブとともに魚肉料理の味の引き立てに汎用されている。Rosemary absoluteは香り以外の効能は不明。
精油は水蒸気蒸留で得られ、葉、花から採油するチュニジア産出の精油は品質が高い。スペイン産出精油の品質は最高級品から小枝もいっしょに採油する低級品まで幅が広い。品種、採油部分の違いによって精油成分も異なる。香りは新鮮で、ハーバル、森林を想わせるウッディで、嘗て、著名な香料専門誌がアンケートした時、世界の調香師の大半が、ハーブ調といえばローズマリーの精油の匂いを連想すると答えている。
精油はアルコール性フレグランス製品の元祖のハンガリー・ウォーター(Hungary water)や主に現代の男性用フレグランス、オーデコロン、オーフレッシュの香り作りや、食用ソース作りによく利用される。

 

解説

にほひすと&かおりすと  吉原 正明

2013年春夏号

ミツバチ類の働きバチは、天候がよく採蜜できる花の量が多いと、蜂蜜の貯蔵庫が満杯になるため、体内に蜜を貯めるが、貯まり過ぎると、その一部が体内で蜂蝋(ビーズワックス・bee’s wax)に変換され、腹の裏面の蝋腺から分泌したビーズワックスを口に入れてリボン状にして、六角形の貯蔵庫・蜂の巣(ハニカム、honeycomb)を共同作業で増築していく。
ビーズワックス5年以上経ったハニカムには、蜂蜜や花粉の匂いが染み込んでいる。
欧州、アフリカ、中近東の一部に棲息し、養蜂に広く利用されているセイヨウミツバチ(Apis mellifera L.)の巣を取り出してスライスし、温めて溶かし、ろ過して蜂蜜を垂らしとり、さらに巣を遠心分離して蜂蜜を採った後、巣を水洗し、鍋に流し込んで冷やして固めて、蜜ロウ(蜜蝋)を作る。これを直接エタノールで洗い出し、エタノールを溜去して、bee’s wax absuluteという動物性香料を得る。採蜜した花の種類の違いでabsoluteの香気は異なるが、グラースの天然香料メーカーはグラース近辺のクローバーから採蜜するミツバチが作るbee’s wax(仏語はcire d’abeille)から、マイルドで甘く、花粉様の、干し草的、蜂蜜的な、亜麻仁油を想わせる香気を発する固形状のbee’s wax absoluteを製造する。合成香料主体の調合香料を丸く、ふくよかにする(round off)のに有効である。

 

解説

にほひすと&かおりすと 吉原正明

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第8回 日本フレグランス大賞 結果発表 フレグランスノABC