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フレグランスフォーラム

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2014年 夏号

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インド原産のモクセイ科ソケイ属のジャスミン(素馨)

(学名Jasminum grandiflorum L.)の花から溶剤抽出で花精油・ジャスミン アブソリュート(Jasmin absolute)が得られる。

 

南仏では、花(fleurs)といえばジャスミンを指すほど親しみ深い植物である。花精油はローズのそれと並んで高級フレグランス製品用の香り作りには欠かせない。

 

南仏・グラース産の花からのものが最上品質であるが、花も労働力も豊富なエジプト、インド、モロッコなどのジャスミン栽培に適したところが主産地となっている。清楚可憐な白い花は夏の夜から朝にかけて、芳香が質、量ともに最良になるため、7月から8月の朝摘みの花からの抽出品が尊ばれる。

摘花後も1日以上香りを発するジャスミンの花を毎日取り替え、香気を牛脂と豚脂の混合物に十分に吸いこませた後、エタノールで香料を洗い出すアンフルラージュ法は、花から高収率で独特の甘い香料が得られるため、よく用いられたが、手間がかかる上、狂牛病問題もあって21世紀初頭に生産が中止された。同じソケイ属で、南アジアでは宗教行事でふりまかれたり、ジャスミン茶製造に用いられるマツリカ(茉莉花)(学名Jasminum sambac (L.) Ait.)からも、花精油・ジャスミンサンバック アブソリュート(Jasmin sambac absolute)が採られ、最近のフレグランスにしばしば用いられている。

 

解説

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吉原 正明

2014年初夏号

ダマスクローズバラは、バビロン、古代エジプト、ペルシャの庭園ですでに栽培され、その美しい姿と香りが楽しまれていたという。

香料用に栽培されるバラに芳香のバラを交配して作り出されたダマスクローズ(学名Rosa damascena Mill.)がある。

現在、ブルガリア、トルコが主産地で、インド生まれでペルシャ育ちのこのバラは、シリアのダマスカス(Damascus)を経由してトルコ、バルカン半島に拡がったことから、ダマスクローズと呼ばれる。

花を水蒸気蒸留あるいは水蒸留して精油・ローズオイル(rose oil)を得る。実際には、最初に得た精油(direct oil)と、下層に溜まった芳香水(first water)を少し濃縮して浮かせた芳香油(water oil)を混合してローズ オイルとする。
精油はオットーローズ(otto(attar) of rose)とも呼ばれるが、アラビア語のフレグランスに当る言葉に由来する。溶剤抽出した花精油・ローズ ブルガリアン アブソリュート(rose Burgarian absolute)も生産されている。精油の香りは軽くて強く、ややスパイシーなピリッとしたさわやかさがある。花精油の香りは花香に近く、しっとりとしてフローラルである。ともに高級フレグランス製品用に、また、精油は飲食品用にも利用される。蒸留は、医薬、飲食品の風味付け、祭礼などに使われるローズ水(Rose water)などを得るために発達した。

 

解説

にほひすと&かおりすと 吉原 正明

2014年春号

ビターオレンジ1東南アジア原産のビターオレンジ(だいだい)(学名Citrus aurantium amara L.)は今、世界中の温帯から熱帯に広く生育しており、地中海沿岸や西インド諸島などで香料用に栽培され、果実、花、葉から各種の天然香料が作られる。

スペイン、ギニアでは、果実を圧搾して果皮中の精油分を採り出したビターオレンジ オイル(orange bitter oil)は食品香料への需要が多い。南仏、イタリア、チュニジアなどで花を水蒸留して採るネロリ(オイル)(neroli(oil))は、フローラルで柑橘のさわやかな香りで、クラシックなオーデコロンや男性用フレグランスなどの香り作りに重宝される。

中世イタリアのNerola公国の王妃がこよなく愛した事から、オレンジフラワー オイルをネロリと呼ぶようになった。花を溶剤抽出すると、オレンジフラワー アブソリュート(orange flower absolute)が得られ、少量でフレグランス製品の香りを芳醇にし、ネロリとの併用はさらに効果を増す。
摘花後の葉や小枝を水蒸気蒸留して得られるプチグレン オイル(petitgrain bigaradier oil)は、安価で力強い香気を持ち、ネロリの代わりに化粧品、トイレタリー製品などに広く利用される。ネロリの副産物・ネロリ水(Neroli water)は、昔、鎮静剤として多用された。

 

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にほひすと&かおりすと 吉原 正明

2014年春号

lilacIMG_0681香料の世界では、バラ、ジャスミン、スズランと並んで四大フローラルと呼ばれるほど、調香によく利用される花香の代表。

イラン原産の、もくせい科の小高木で西アジア一帯に自生し、中世欧州に持ち込まれた。春から初夏にかけて白、ピンク、紫などのきれいな色の香り高い花を咲かせ、公園や街路、庭を彩りよくし、さわやかに香るため、季節になるとライラック花祭りが開かれるなど世界各地で親しまれている。

Syringa vulgaris L.で、和名はムラサキハシドイ、英語でライラック(Lilac)、フランス語でリラ(Lilas)という。宝塚歌劇団の「すみれの花咲く頃」の元歌は、フランスの歌「白いリラの花咲く頃」。花の溶剤抽出品の匂いは花香に程遠く、液化ブタン抽出も試みられたが、合成香料を主体として調香されたベース香料のほうがはるかにライラックの花香に近く、供給、価格の面でも圧倒的に勝っていることから、香料メーカーはどこも自家製ベース香料を作り、調香に活用している。

フレグランス製品の創香に、ライラックの香りはしばしばモチーフになり、ベース香料はフローラル調の重要な構成要素として用いられる。

 

解説

にほひすと&かおりすと

吉原 正明

2014年春号

バイオレットギリシャ・ローマの時代、スミレの花で作った冠をかぶる習慣があるなど、スミレの仲間は欧州では古くから親しまれてきたが、欧州南部に自生するニオイスミレ(学名Viola odorata L.)の冠はヴィーナスの象徴。その芳香により、入浴剤にしたりして愛でられ、栽培品が外に広がり、欧州全体に分布が広がった。この花を溶剤抽出して、花精油・バイオレットフラワー アブソリュート(violet flower absolute)が得られる。また、ニオイスミレの新鮮な葉を溶剤抽出して、バイオレットリーフ アブソリュート(violet leaf absolute)が得られる。

 

花精油は甘いフローラルな香りで、エタノールなどで薄めるとバイオレットの花を想わせる芳香を発する。フローラルブーケ調のフレグランス製品用香料の調製に昔はよく用いられたというが、花摘みの手間がかかること、また、香気成分の研究過程でスミレの香りに似た香りを出す合成香料が発明され、安価で香気も強く、容易に供給できる合成香料が好んで用いられるようになり、南仏、イタリアでの香料用の栽培は途絶えた。一方、葉からの香料は強烈な青臭さを持ち、代表的なグリーンノートの天然香料の一つとして、エジプトで少量だが生産され、高級香料の調合に用いられる。

 

解説

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吉原 正明

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第8回 日本フレグランス大賞 結果発表 フレグランスノABC